連日の遊び疲れと、安くて美味しいビールのおかげで
珍しくお昼近くまで起きれなかった。
慌ててシャワーを浴びると、何やら右肩が重い。
右肩に目をやると昨日の射撃の時にできたであろうアザが
しっかりと浮かび上がっていた。
なるほど、そういう事か、、、
なんとなく男の勲章をもらったような気がして
少し誇らしげに思えた。
足早に部屋を出ると、すでに強烈な陽の光が容赦なく肌に突き刺さってくる。
ベットメイクのおばさま達が、どでかいカートを押しながら
廊下と部屋を忙しく、行ったり来たりしていた。
辺りには洗い立てのシーツから
アメリカらしい甘い柔軟剤の香りが漂っていた。
今日は今回の旅行のメインイベント
ThePizzのアートショー、
その後は飛び入りでOKTのライブの予定。
とりわけ昼の予定は何もないのだが、LA滞在も残すは2日。
久しぶりに買い物でも行ってみる事にした。
SupremeやStussy、Diamondが立ち並ぶフェアファックスに向けて車を走らせる。
行き慣れたここへの道も
こんなにのんびりとした気持ちで走ると、また違って見えるもんだ。
停まる車に目をやりながら、ゆっくりと通りを抜ける。
洒落た店が立ち並ぶこのエリア
行きかう人たちもみんなお洒落
おもいおもいの洋服を身にまとい、颯爽と通りを歩く。
皆、自分らしいスタイル
日本人の”右へ倣え”のそれとは違い、
皆、個性豊かで面白い。
これぞアメリカンストリートファッション
毎回、ここでも沢山の刺激をお土産に持ち帰る。
数件を回り、
両手を紙袋でいっぱいにして車へと戻る。
頼まれた洋服や小物も、ほぼ購入終了。
一旦ホテルに荷下ろしに帰る。
買い物で汗ばんだTシャツを脱ぎ、さっとシャワーを浴び
買ったばかりのTシャツに袖を通し
いざ出発。
ロングビーチの画廊”EL Cuervo”に到着。
Pizzの愛車も到着しており、
外は溢れんばかり、賑やかに来客の声が通りを沸かす。
早速、中に入ってみる。
アサヒスーパードライを渡されて、
チーズのおつまみを一つ頂く。
中には懐かしい彼の絵の数々。
みんな立ち止まり、しんみりと彼の絵に見入っていた。
外では仲のよかった彼の友人が、
Pizzを悼み、ビール片手に話し込んでいた。
その傍らに、若かりし頃の彼の肖像が鎮座していた。
少しうつむき加減に背中を丸めながら、、、
ボクはそのベンチ、彼の隣に座って、彼を想い、
少しの間、Pizzとの思い出に浸ってみた。
口うるさくボクに「男はこう話すんだ」とか
「飯はこう食え」とか「フォークはこう使うんだ」
「あの店の飯がうまい」
「あそこにこんな店がある」
なんて色々と教えてくれた。
飯を食ってるとボクのプレートからそっと一口つまみ食いする彼
お茶目でボクのレンタカーを運転するのが好きだった彼。
他の車の運転手をよくからかって遊んでた。
真っ黒のサングラスをかけてよく夜に運転できるな~なんていつも不思議だった。
兄貴みたいなPizzがボクは好きだった。
もうこの世にはいないけど
彼の残した沢山の作品の中で、
それを手にしてる人たちの心の中で
ThePizzは生き続ける事だろう。
この夜も、沢山のアートピースが売れていった。
忙しそうなYUKIさんにも別れを告げ
そろそろ、友達の待つライブハウスに向う事にした。
ミラー越しに見えるアートショー会場は
まだまだ人が途絶える事はなさそうなくらい、大賑わいだった。
ひんやりとしたロングビーチの夜風が
窓から車内に流れ込む。
寂しくなったボクの体を冷やすかのように
State of CaliforniaTrip
Day 5
つづく...